平成29年10月1日より『水銀廃棄物』について対応が必要です!
水銀に関する水俣条約
平成29年8月16日に水俣条約が発効します。
水俣条約とは、「水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護すること」を目的とした先進国と発展途上国が協力して水銀の供給、使用、排出、廃棄等の各段階で総合的な対策に世界的に取り組み、水銀の人為的な排出を昨変し、地球規模の水銀汚染の防止をめざす条約です。(日本は2016(平成28)年2月に締結しました。)
この条約の発効により、『水銀の使用用途』が制限されるため、水銀の需要が減少し、今後、水銀を含む廃棄物の取扱量が大幅に増えることが予想されます。
これを受けて、『廃棄物処理法施行令』が改正され、平成29年10月1日より『水銀使用製品産業廃棄物』及び『水銀含有ばいじん等』に対して新たな規制が始まります。
水銀を含む廃棄物とは?
これまでの産業廃棄物の許可品目(法定20品目)に「水銀を含む廃棄物」という品目が追加されるわけではありません。
ですが、金属くず、ガラスくず等のうち『水銀使用製品産業廃棄物』に該当するものは、『金属くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)』『ガラスくず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)』の様に許可証に明記する必要があります。
同様にばいじん・燃え殻・汚泥・鉱さいのうち『水銀含有ばいじん等』に該当するものは、『ばいじん(水銀含有ばいじん等を含む)』の様に許可証に明記する必要があります。
ではそれぞれの廃棄物について解説します。
1.水銀使用製品産業廃棄物
水銀を使用した次の①~③の製品が産業廃棄物となったもの。(判別不能な一部の製品を除く)
①:水銀使用製品のうち次表に掲げるもの
②:①の製品の組込製品(表に*印のあるものを除く)
③:水銀又はその化合物の使用に関する表示がされている製品
1 | 水銀電池 | 20 | ボイラ(二流体サイクルに用いられるもの) |
2 | 空気亜鉛電池 | 21 | 灯台の回転装置 |
3 | スイッチ及びリレー(水銀が目視できるものに限る)* | 22 | 水銀トリム・ヒール調整装置 |
4 | 蛍光ランプ(冷陰極蛍光ランプ及び外部電極蛍光ランプを含む)* | 23 | 水銀抵抗原器 |
5 | HIDランプ(高輝度放電ランプ)* | 24 | 差圧式流量計 |
6 | 放電ランプ(上記4・5を除く)* | 25 | 傾斜計 |
7 | 農薬 | 26 | 周波数標準機* |
8 | 気圧計 | 27 | 参照電極 |
9 | 湿度計 | 28 | 握力計 |
10 | 液柱形圧力計 | 29 | 医薬品 |
11 | 弾性圧力計(ダイヤフラム式のもの)* | 30 | 水銀の製剤 |
12 | 圧力伝送器(ダイヤフラム式のもの)* | 31 | 塩化第一水銀の製剤 |
13 | 真空計* | 32 | 塩化第二水銀の製剤 |
14 | ガラス製温度計 | 33 | よう化第二水銀の製剤 |
15 | 水銀充満圧力式温度計* | 34 | 硝酸第一水銀の製剤 |
16 | 水銀体温計 | 35 | 硝酸第二水銀の製剤 |
17 | 水銀式血圧計 | 36 | チオシアン酸第二水銀の製剤 |
18 | 温度定点セル | 37 | 酢酸フェニル水銀の製剤 |
19 | 顔料(塗布されるものは*) |
なお、②の組込製品は例えば、補聴器(水銀電池・空気亜鉛電池)、ディーゼルエンジン(ガラス製温度計)、朱肉(顔料)があります。(それぞれ含まれる水銀製品をカッコ書きしています。)これらの製品はその製品ごと『水銀使用製品産業廃棄物』として取り扱います。
ただし、排出時点で*印の付いている製品(水銀が使用されたスイッチ・リレーや蛍光ランプ等)が部品等として組み込まれている機器本体は、外部からその判別が難しいため適用除外になります。つまり『水銀使用製品産業廃棄物』には該当しません。
ですが、適用除外となる機器本体について、環境省のガイドラインでは容易に取り外せる水銀製品(水銀電池等)は取り外して廃棄し、その際はそれを『水銀使用製品産業廃棄物』として扱うことを求めています。
19の『顔料』について、例えば『水銀を使用した塗料』はそれが『顔料の状態』であれば『水銀使用製品産業廃棄物』に該当しますが、『塗布・捺印等された製品や作品等』は適用除外です。なので例えば『(水銀を使用した)塗料が付着した繊維くず』は『水銀使用製品産業廃棄物』には該当しない、ということです。(通常の『繊維くず』として処理します。)
③の表示の方法としては例えば、日本語による表記(水銀)、英語による表記(Mercury)、化学記号(Hg)、J-Moss水銀含有マーク等があります。
2.水銀含有ばいじん等
ばいじん・燃え殻・汚泥・鉱さい・廃酸・廃アルカリで水銀を一定以上含有するもの。
廃棄物の種類 | 水銀含有ばいじん等の対象 | 水銀回収義務の対象 |
燃え殻、鉱さい、ばいじん、汚泥 | 水銀を15mg/kgを超えて含有するもの | 水銀を1,000mg/kg以上含有するもの |
廃酸・廃アルカリ | 水銀を15mg/Lを超えて含有するもの | 水銀を1,000mg/L以上含有するもの |
※水銀には水銀化鉱物に含まれる水銀を含む
※特別管理産業廃棄物に該当するものは『水銀含有ばいじん等』には該当しない
平成29年10月1日以降必要な対応とは?
1.処理基準
収集運搬業許可に関していうと、まず『処理基準』が改正され、水銀を含む産業廃棄物についてはより慎重に収集運搬する必要があります。
具体的には、一般的な収集運搬処理基準(飛散流出の防止措置等)に加えて、
①破砕することのないような方法によって収集運搬すること
②その他の物と混合しないよう区分して収集運搬すること
『水銀含有ばいじん等』に関しては、水銀が常温で液体であり、さらにその揮発性の高さから、上記①②に加えて、
③蓋付きなど密閉できる容器に入れる、二重に梱包する、シートで覆う等、揮発した水銀が容器又は梱包から漏れたり大気中に飛散することのないよう必要な措置を取ること
④高温にさらされることのないよう必要な措置をとること
が求められます。
2.その他の業務上の義務
委託契約書
委託する産業廃棄物に『水銀使用製品産業廃棄物』又は『水銀含有ばいじん等』が含まれる場合は、その旨を委託契約書に記載する必要があります。
※平成29年10月1日以前に契約締結している委託契約書については新たに契約変更等をする必要はありません。
産業廃棄物管理票(マニフェスト)
収集運搬を委託する産業廃棄物に『水銀使用製品産業廃棄物』又は『水銀含有ばいじん等』が含まれる場合は、マニフェストの種類欄にその旨及び数量を記載する必要があります。
帳簿の記載
収集運搬に係る産業廃棄物に『水銀使用製品産業廃棄物』又は『水銀含有ばいじん等』が含まれる場合は、その旨を帳簿に明記する必要があります。
廃棄物保管場所の掲示板
産業廃棄物の種類欄に『水銀使用製品産業廃棄物』又は『水銀含有ばいじん等』が含まれることを明記する必要があります。
許可証の取扱い
平成29年10月1日時点で既に収集運搬業許可を受けている場合は、そのまま「含む」の表記がなくても、引き続き取り扱うことができます。(処理基準やマニフェストの記載方法等を遵守することは当然必要です。)
許可証の書換えについて
平成29年10月1日時点で許可証をお持ちの場合で、「含む」の記載を加えるために許可証の書換えを希望する場合は、『変更届』を提出することになります。
ただし、平成29年10月1日以降に新しく許可を受けた場合、「含まない」の表記を「含む」に替えるには『変更届』では足りず、『変更許可申請』が必要となります。
『変更届』には役所に払う手数料はかかりませんが、『変更許可申請』には申請手数料が必要です。
ご注意ください。
電話・メール・出張相談は無料です!
当事務所では電話・メール・出張による相談(貴社のご指定の場所までお伺いします!)は何度でも完全無料です!(出張相談は対応エリアに限ります。)
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